第22章 想歌
「……意外と不味くないね」
「梶井の力作だからなァ」
「げっ!何で先に云わないの!? 」
「訊かれなかったからな」
「最悪っ…!また変な効能追加してるんじゃないだろうね!?」
「さァな?」
「~~~っ!!」
スルッと中也が紬の頬を撫でる。
何てことはない行為の筈なのに紬はビクッと身体を震わせた。
その反応にニヤリと笑う中也。
「まあ、薬が効きにくい手前のために作らせた特注品だ」
「本っ当に最悪……っ!」
「おーおー。効果は抜群だなァ?」
完全に中也のペースに持ち込まれる前にと紬が頭を動かそうとしたタイミングで太宰が戻ってきた。
「何やってんの?中也。抜け駆けしないでって云ったじゃない」
「ハッ、そりゃ悪ィことしたなァ。手前も触れてみろよ」
「?うん」
「ちょっ…!治っ…!?やめっ……!!」
頬に触れていた中也の手をぺチッと叩いて紬に後ろから抱き着く。
ーーー態とらしく、腰を撫で付けながら。
小さく反応する紬に何も知らない太宰は更に手を動かす。
「如何したの?紬。久し振りだから興奮しちゃった?」
「そんな…わけっ……ゃあ!?」
「うふふ可愛い反応。紬がこんなにヤル気なんて嬉しいなー」
「違うってばぁ!」
「無理すんなって。もうそろそろ………早いとこヤりてぇだろ?」
「やだって………んっ!……」
そう云うと中也が紬をヒョイッと横抱きした。
首を横に振るも中也の首に腕を回して抱き着く。
「あーらら。中也にそんなに甘えちゃって。拗ねちゃうよ?私」
「やっ……あ!」
太宰がちょっかいを掛ける毎に身体をビクッとさせながら反応を返す紬。完全に薬が回りだしたようだ。
さっきまで必死に行っていた抵抗が薄れ始めている。
堕ちるまでそう時間は要らないな、等と考えながらキングサイズのベッドの上に紬を降ろす中也。
「で?」
いつの間にか隣に居なくなった太宰を探して、声を掛ける。
「コレコレ!」
じゃーん!と云う効果音と共に取り出したのは一着のメイド服。
フリフリのミニスカートではなく落ち着いた感じのロングスカートタイプだった。