第21章 終焉
「『黄泉』のデータをウチの科学班に渡したら、早速実験したいって云っててね。丁度良い材料を探してた所なんだよ」
「真逆、人体実験…!?」
そう驚いていると担架と麻酔と睡眠薬を持って
梶井と他の科学班がやってくる。
「助かります太宰さん!」
「うふふ。実験結果、楽しみにしてるよー」
素早く山吹の首筋に麻酔と睡眠薬を注入し、拘束を外して担架で運んでいった。
一瞬で静まり返る地下室。
充満する血の臭い以外は何時も通り。
「あーやっと終わったー。疲れたー」
「手前は大して動いてねぇだろーが」
ガバッと中也にのし掛かる紬を押し退けもせずに悪態つく。
「ンで?此奴は?」
中也がチラッと××を見る。
「ん?『大切なモノの記憶を奪う』なんて素敵な異能じゃない?ーーー『私の』部下にでも置こうかなーなんて」
そう云った瞬間に、××の身体が突然地面に張り付いた。
「え………なん……で………」
ミシミシ、と。
先刻、義兄から発せられた不快な音が自分からも生じている。
「なが……まに……じでぐれるっ…で………」
痛みに堪えながら必死に声を上げる××。
「私はね、その心算だったんだけど。如何やら私の相棒は君のこと認めてくれないみたいだね」
中也を後ろから抱き締めたまま紬はニッコリと笑って答えた。
「ぞ…んな……!」
男の身体に掛かる負荷が増したようだ。
接している床にも亀裂が入り始める。
「コイツの面倒係は俺だけで充分だっつーの」
「うふふ。そう云うわけだから御免ね?」
「ま"っ……!!」
グチャリ。
負荷に耐えられなくなった身体は破裂した。
これで、本当に何時も通りになった。