第21章 終焉
「それじゃ……私に優しくしてくれていたのは……」
「間諜の手前から情報を抜くためだーーー手前が『俺の秘書になった時点』からな」
「そんなっ…!?じゃあ……最初から……」
双つの黒がニヤッと嗤ったーーー
「「そう、凡て知ってたんだ」」
双り以外の。
その場にいた全員が言葉を失った。
「でなきゃ手前ごときに『刺された』りするわけねーだろうが」
「「「!?」」」
この中也の発言で山吹だけではなく、中也の部下2人も大きく反応した。
今、中也さんは何て云った?
手前ごときに刺されたり……?手前が刺した?
「「っ!!」」
部下達が銃を山吹に向けた。
「止せ」
「止め給え」
上司が一斉に制止に入る。
「しかし!この女のせいであんな大怪我を!」
「そうです!それが作戦だったなんて……そんな!!」
「手前等が心配してくれんのは有難ェが首領命令だ。多少の怪我は仕方ねぇよ」
「……。」
その言葉に僅かに眉を潜めたのは隣にいる人物だった。
それに気付いてか、ぐしゃぐしゃと紬の頭を乱暴に撫でる。
「うわっ!何すんのさ!」
「それにコイツが居るからな。そのお陰で凡てが此方の思う通りになった」
「「……。」」
部下達は銃を降ろした。
紬もジロッと中也を見たがニヤッと笑って返されたのでフィと顔を山吹に戻す。
「何かあった時のために余り切れないように刃には細工をしていた……けど思いの外、力が強いようだね君は 」
「……。」
意識を途切れさせる異能者もグルだった。
中也の意識が途切れた瞬間に2人で刺したが中々刃が通らなかった。
なので心臓を、と思った瞬間には増援が。
この中也の部下2人が駆けつけてきてしまったのでそれ以上の事は出来なかったのだ。
「それだけの事をしておいて中也の事を愛してる?あはははは、随分と笑わせてくれるね」
「「「「「!?」」」」」
「……。」
ゾワッとした殺意が地下を包んだ。
怯んでいないのは中也だけだろう。