第21章 終焉
「はあ。上手く云えてたか?」
「大丈夫、大丈夫」
それを見えなくなる迄見届けて、2人は深い息を吐きながら話始めた。
「でもなぁ。あんなに『中也さん』『中也さん』云ってたのにな」
「ああ。紬さんの云う通り、全く『中也さん』の話題どころか名前すら出てこないなんてな」
「手前等、何時もそんな話してたのか?」
「そうですよ!だって中也さんの遅れてきた青春ーーーえ?」
「ちっ…」
バッと同時に振り返る2名。
其処に居るのは紛れもなく2人の上司ーーー
「「中也さん!?」」
「あ?遅れてきた青春だァ?」
眉間にシワを寄せている中原中也だった。
「え?いつの間に!?」
「ずっと此処にいたっつーの」
「そんな真逆!そしたら山吹さんも中也さんに挨さ「彼奴はなーーー」え?」
中也の紡いだ言葉に絶句する2人。
「地下牢の男を拷問椅子に固定しておけ。あと、壁の拘束も使う。準備しろ」
「「……はっ!」」
中也の指示を聞くと直ぐに2人もその場を去っていった。
その光景を眺めていた中也が突然、手を耳に当てた。
耳に嵌めている機械が『音』を発し始めたのだ。
その音に集中する。
暫く黙って聴いていた中也は小さく息を吐いた。
「紬の書いた台本通りだな、ったく」
そして、ニヤリと獰猛な笑みを浮かべながら山吹の歩いていった方向へと向かっていったのだった。