第21章 終焉
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「んっ……」
山吹は部屋に射し込んだ明るさで目を覚ました。
「……。」
のそり、と。
何故か重い身体を起こしてボーッと部屋を見る。
そして、色々なことに気付き、覚醒した。
「此処何処……ってか何で私っ!?」
己が見知らぬ場所で全裸でいることに驚き、慌てふためく。
一旦冷静になろう。
そうして昨日の記憶を手繰り寄せた。
「私は昨日ーーー」
そう回想を始めようとしたとき、山吹の携帯が震えた。
電子文だったそれを開き、読み上げる。
『遅くまでお疲れ。仕事があるから先に帰った。身支度整えたら直ぐに出勤してくるように』
あ、そうだった。
昨晩の記憶が甦り、慌てて身支度を整えてホテルを後にした。
ポートマフィアの本部が、あのホテルからそう遠くない距離にあって本当に良かったと乱れた息を整えながら思った山吹は、深く息を吐いて呼吸を落ち着かせようとした。
「あ、山吹さん」
「お早うございます」
そう云って話し掛けてきたのは中也の部下2人だ。
「お早うございます」
やっと落ち着いた呼吸に安心しながら挨拶を交わした。
「済みません。来た早々に申し訳無いんですが太宰さんから仕事を仰せつかってます」
「太宰幹部、お怒りじゃないですか!?」
「いえ?何故です?」
突然の質問に首を傾げながら質問を返す部下その1。
「直ぐに来るようにって連絡があったんです。出勤時間を間違えてしまってるんですよ、きっと!」
「そうなんですか。でも直ぐに行って任務につけば大丈夫ですよ」
そう云って、部下が鍵を1つ手渡した。
「此れは?」
「観察室の鍵です。其処に居る捕虜の見張りを、との命です。あの部屋、監視システムが他のとこよりも手薄だから」
「そうですか…」
「あ、そんなに不安に思わなくても大丈夫ですよ!捕虜は若い男で、全然我々のような存在とは思えない程ひょろひょろですから!」
「……判りました。頑張ります」
山吹は2人に一礼すると直ぐに観察室へと向かっていった。