第21章 終焉
銃を構えて入室してきたが、広がる光景を確認して直ぐに降ろす。
「太宰幹部でしたか」
「お怪我は」
何故、此処に。
なんて思うことなくソロリと2人が近付いてくる。
「ないよー」
ニコッと笑って云った紬に安堵すると懐に銃を仕舞った。
「この2人……昨日、我々に確認されていた…」
「そそ。君達の『見たことがある』は正しかったのだよ」
そう。
昨日、情報提供を引き受けていた社長が渡した防犯カメラの映像に、××と共に写っていた男達だった。
紬が帰り際、車で2人にみせたところ2人ともが「真ん中の男は知らないが、両隣の男は何処かで見たような」と答えたのだ。
自分が知らずに2人に見覚えがというならば下級構成員に紛れている可能性が高いと踏んだ紬は、部下2人に伝言を頼んだ。
手には小さな四角の機械。
車に仕掛けられていた盗聴器なんて既に紬の掌の上だった。
紬の「手」にある時点で、ソレは彼等にとって都合の良い会話は凡て拾えない。
そんな事など知る由もない愚かな2人は、今よりも遥か前から紬に躍らされていたのだーーー。
「車に仕掛けられていた盗聴器は私が乗った分は回収したけど、きっと他にも彼方此方に仕掛けてあるでしょ」
まあ、私の部屋と此処のは凡て壊したけど、と続けられた言葉に固まっている男の顔が蒼くなる。
「コレ、拷問部屋に運んで。繋いだら呼んでよ。元に戻すから」
「はっ」
「あと、部屋の掃除もお願いしておくよ。こんな大きな塵を部屋に散らかしたままだと流石の中也もお怒りになること間違いないし」
「承知しました」
紬が指示すると、その通りに男達が動き始めた。
連絡をとって死体処理班が到着し、拷問班が男を回収する。
そんな様子を見届けることなく紬はソファの背凭れの上に置いていた「何か」を回収して、中也の執務室を後にしたのだった。