第21章 終焉
「愉しかったけど飽きてきたから此れでお仕舞い。いいかい?消音器が付いていない銃で撃つんだから、1発が勝負だよ?でなければ日頃から銃声に敏感な連中が駆け付けてしまう」
紬はニコッと笑って告げた。
その余裕ぶりにギリッと奥歯を噛み締めた男達は立て続けに1発ずつ発砲したのだった。
パンパンッ
乾いた音が、そう狭くはない部屋に鳴り響いた。
「うふっ……ふふふふふ……」
「「!?」」
撃ち抜いたと思った。
しかし、紬は不気味な笑いを始めただけ。
出血もなければ倒れることもしない。
「「っ!?」」
弾が当たらなかったのか?!
男達は装填できる凡ての弾を撃ち出した。
紬は肩を小刻みに震わせて何かを耐えている。
カチン、カチンッ…と両名の銃が空弾を知らせると紬は堪えていたものを爆発させた。
「あはははは!本当に策もなく行動するんだから愚かで仕様がないよ!!あー矢っ張り可笑しい!」
男達は腹を抱えて笑い出す紬に、怒り出すことは出来なかった。
銃弾が通らないーーー
異能者『ではない』と聞かされていた人間に、今出来る最大の武力を行使したのに、死どころか怪我さえ与えられなかったのだ。
唖然とするしかなかった。
そう、唖然と。
「笑いの提供をどうも有難う。じゃあ、もう用済みだから」
そうしている隙に紬が片方の男に触れた。
「「?」」
距離をつめられたというのに、されたことが「触れられた」ことだけの男達はポカンと口を開いた。
次の瞬間ーーー
「ぐっ……!………ぁ"……?」
「!?」
ガクンッと触れられた男が膝をついて苦しみ出す。
それを見て、漸く「恐怖」という感情が顔を出した。
苦しみもがく男はバタンと倒れて動かなくなった。
「あ………?」
「君の方が『お話』出来そうだからね」
ポンッと肩を叩かれる。
しまった!と思うには遅すぎた。
身体が一瞬で動かなくなり、声も出せなくなったのだ。
バンッ!!
それと同時に、執務室の入り口扉が乱暴に開いた。
「「中也さん!」」
入ってきたのは何時も部下2名だった。