第21章 終焉
「そ……んな………!じゃあ……俺達が一昨日まで活動出来ていたのはバレてなかったから……なんかじゃなくて……」
紬はそんなことなど気にもせずにニコっと笑って、云った。
「そ。ただの順番待ち」
「~~~~っ!!」
男は思わず俯いた。
リストは殆ど線だらけ。
残っているのは自分の名前を含めて6人だった。
「却説、××君」
「っ!」
リストに存在するのだから凡ての情報を把握していて当然。
先程は年齢まで把握しているといわんばかりに『私より若いのに』などと云われたのだ。
なのに突然、名前を呼ばれて肩を上げるほどに××と呼ばれた男は驚いた。
しかし、紬は何時も通りに何事も無かったように話を続ける。
「『最も大切なモノの記憶を奪う異能力』ーーー随分と便利な異能の持ち主だね」
「っ!!」
「発動条件は『相手に触れること』、『奪える数は1つだけ』ーーー故に、複数人同時に異能を掛けることは出来ない、ってところかな?」
「何で其処までっ……!!」
恐怖が大きくなりすぎたのか。自暴自棄になっているのか。
××と呼ばれた男はハッキリとした口調で紬と対話し始めた。
「何でって。君、この界隈でその異能を駆使して企業の頭から金を荒稼ぎしてたでしょ?それら凡ての情報を照合すればそれくらいの答えは簡単に導き出せる。決して君の『異母兄』が喋った訳ではないよ」
「…………。」
××は悟った。
最初から勝ち目など無かったのだ、と。
「何なら動機も中ててあげようか?」
「そんなことっ………!誰にも話してないから判るわけ無い!」
勢いよく返した××に「ふーん?」と小莫迦にした相槌を返すとニッコリと笑ってみせた。
「父親が所属していた暴力団を牛耳る新たな組織を作る心算だったんだろう?理由はーーーコレ」
「ーーーーっ!!!」
トン、と指で示したモノを見て××は絶句した。
正に、その通りだった。
バレて居ないと思っていた事ですら見透かされた××に最早、云い返す気力など在るわけが無かった。
項垂れる××。
「しかし、君は哀れだね。利用されるだけされて、棄てられるんだから」
「………え。」
××には紬が云った言葉が理解できなかった。