第19章 策動
広い個室に通された一同。
「太宰………」
「如何したの?国木田君。先刻から顔色悪いけど」
「説明しろ。何が如何なっている!?何故、ポートマフィアとっ!」
「君達は隣室ね。好きなものを頼み給え」
「しかし……!」
「今のうちに食べておかないと戻ったら書類整理だよ、きっと。終わってないだろうからねえ」
「「……。」」
確かに。
そんなに直ぐに片付く様な量ではなかった。
「明日期限のばかり残しておいたから今頃中也は苛々してるだろうなー」
愉しそうに云った紬に返す言葉もなく、2人は云われた通りに隣室に移動して食事をすることにした。
そんなやり取りをしていた紬を国木田はビシッと指差していた。
話を終えて太宰の隣に戻ってくる紬。
「却説、待たせたね。君達も好きなものを遠慮なく頼み給え」
「紬ーこれ美味しい?」
「それよりも此方の方が辛口で治好みだと思うよ」
「じゃあそれにする!国木田君も同じので良いよね?」
太宰が指差しているのはあまり目にしない銘柄の酒だった。
国木田は思考が追い付かずに反応しない。
「君達は未成年?」
「あ、ハイッ」
紬に問われて谷崎が返事する。
「私は未成年の飲酒なんて咎めはしないけど」
「だーめ」
「ってことらしいからこのページから選ぶと良いよ。因みに柚子ドリンクがサッパリしていてお勧めだよ」
「美味しそうですわ」
「君……えっと鏡花ちゃんだっけ?」
紬の声にコクッと頷く。
「ほら、お品書き。何れが良い?豆腐が好きって姐さんから聞いたけどここの湯豆腐も中々美味だよ」
「!」
鏡花の目がキラキラと輝く。
何時の間に呼んだのだろうか。
店員が注文を聞きに来る。
各々、頼みたいものをーーーと云われたものの
この状況に対する疑問が多過ぎて、飲み物と湯豆腐以外の言葉が出なかった。
「紬、この蟹のやつ食べたい!」
太宰以外は。
「あ、じゃあ同じモノを人数分と……後は任せるよ」
「畏まりました」
そう云うと店員は一礼して下がった。