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【文スト】対黒・陰

第19章 策動


「小娘が!そこまで云うなら判ってるんだろうな!?」

「判る?何をです?嗚呼、噂の真偽がですか?」


笑顔を絶やさずに云う紬に益々の怒りを募らせる。


「そうだ!お前の会社みたいな弱小企業、私の気分次第で何時でも潰せるんだよ!困るだろ!?」

「うふふ。でもそれは『虎の威』を借りて初めて成立するのでしょう?」

「………っ!!!」


男が紬の肩を掴み、押し倒した。
後ろに控えていた部下達が懐に手を入れる。


「止め給え」


「「!」」

作られた声ではなく何時もの紬が何時もの口調で云った。
その言葉は誰に対して紡がれたのだろうか。
一瞬、目を見開いた男。少し冷静になったのだろう。

「何処に連絡しようと同じだ。お前が云った『虎の威』があるからな」

「「……。」」

懐に手を入れた部下達に向かって云い放つ男。
部下達は紬の指示を待つ。
手をヒラヒラと動かすのを見て、懐から手を出した。
それと同時に紬が男の胸を押した。

あっさりと男は紬を離し、先程座っていたソファに戻る。

「怒り狂ったかと思えば今度は開き直りかい?」

「余裕振るのも今の内だぞ。知ってるんだろう?俺がとある政治家と繋がっていることを」

「ええ、勿論」

「その政治家がどんな力を持っているかも知らないで、莫迦な女だ」

男は余裕を取り戻したようで、ニヤリと笑いながら端末を取り出した。
件の男に連絡する心算なのだろう。

「安心しろ。会社は潰すがお前は俺が飼ってやるよ。強気な女ほど調教のしがいがあるもんだからな」


「うふふ。その言葉、忘れないように」


クスクス笑う紬に、ふんと鼻を鳴らして電話を掛け始めた。
相手が出たのだろう。男が説明を始める。

良い返事が聞けたのだろう。男はニヤニヤしながら紬を見る。
そして、端末を紬に渡してきた。

「直々に倒産を告知してくれるそうだ。有り難く思え」


紬は「へぇー」と云いながら電話を受け取った。


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