第4章 再会
ポートマフィア本部、地下牢入り口―――
「―――………――?」
「―――……!」
「先客が……って、中也が帰ってきてたか」
下から聞こえる物音に紬は苦笑する。
完全に策に填まったな。
そう考えながら降りていくと、目的の人物が目に入った。
実際に会うのは4年振り。
しかし、以前と何ら変わりなく
自らと瓜二つの容姿の男は帽子を被った男と云い争っていた。
否。
完璧に帽子男の敗北と云って良いほどに看破していた。
それを階段の一番上に腰掛けて傍観していたところ、
2人の動きが止まった。
「……っ!?」
一人は此方に気づいて、驚きの顔をし、
「あ゙?何だよ、一体…………げっ」
もう一人は男の視線を追って、顔をしかめた。
視線の先にいるのは勿論、紬だ。
「完敗かい?相変わらずだねぇ中也は」
「紬、手前ェ…何時から居やがった!?」
「さあね」
紬はクスクス笑うと中也からもう一人の男に視線を移す。
そして、ゆっくりと立ち上がってその場を去ろうと動く。
「紬!?待っ……!」
慌てて、目的だった筈の男――太宰治が紬を呼び止める。
その声に反応したのか紬ピタッと止まった。
しかし、其方には背を向けたまま。
「私を追えば目的の方は達成できなくなるよ?―――『兄さん』」
「「!?」」
それだけ云い残して紬は去っていった。
シーン……
風なんて吹くわけない地下なのに嫌な空気が流れてきて太宰と中也を包んだ。
「機嫌悪ィな、アイツ」
紬の言葉から感情を読み取ったのか。
中也は舌打ちしながら呟き、隣をみた。
「……。」
太宰は固まっていた。
中也が見たことない程の驚きの表情をしたまま。
太宰が驚いている理由は直ぐに察しがつく。
中也は呆れながら声を掛けた。
「ありゃ完全にブチ切れてンぞ」
「……。」
そんなこと判ってる。
そんな返答すらも出来ないほどにただの石と化している太宰に中也は溜め息を着いた。
「『兄さん』ねェ…。アイツも限界だな」
「!?」
どういう意味かを問い質そうとした太宰を置いて、中也も紬の消えた方向へ行ってしまったのだった。