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【文スト】対黒・陰

第19章 策動


ついさっき来た電子メールを読んで中也は小さく息を吐いた。


『体調はもうよろしいのですか?』


明日、出勤することを知っているのは今返信したばかりの部下達だけだ。
今日も紬に引っ付いて任務をしていたと云うことは既に紬から聞いていたのかもしれない。

しかし、今読んでいる文章を送ってきた人物は如何か。
もうよろしいのか、なんて訊くと云うことは
『明日から中也が出勤してくることを既に知っている』と云うことだ。

紬……はないな。
今日一日、山吹と接触するような時間はなかった筈だ。
紬に訊こうかと思いはしたが太宰との攻防が激しさを増してそれどころでは無さそうだ。

では、と。
考えた瞬間に、仕事用の端末が再び着信を告げる。

「!」

それを読んで疑問が解決した。


『有難うございます。明日からまた宜しくお願い致します。山吹さんも早く会いたい様子でしたよ!』

此奴等に訊いたか、教えてもらったか。

色々と勘繰っていた思考を放棄して中也は返信を始めた。

『おう。明日から何時も通りに戻るから宜しくな』

そう送信して「うぉっ!」と驚くほどに即返信がある。

『無理しないで下さい、でも』

意味深なところで止まっている返事。

『でも?』

続きを促すように送ると先程とは違って、やや間があってから返信がくる。


『早く一緒に仕事がしたいです』


「……。」

なんて返事するのが妥当か。
少し考えた末に文字を打ち込む。


『莫ァ迦。明日からは嫌でもずっと一緒に居ることになるぜ』

『はい!明日が楽しみです!お待ちしております!』


即返信。

中也はふぅ、と息を吐いた。
それと同時にピーピー、と着信音とは異なる電子音が鳴り響く。


「ちゅ~~や~~~………」


ゆら~と近付いてきたのは肩で息をしている紬。
その目は恨みがましく中也を睨み付けている上、涙目だ。
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