第19章 策動
「抵抗すんなや。怪しさしか増さねーだろ。それにいいのか?」
「何が!?」
「そろそろ太宰も帰ってくんじゃねーの?」
「っ!?」
中也の言葉にビクッとする紬。
「見るだけだって云ってンだから素直に従った方がいいんじゃねーのか?」
「ぅ……。」
途端に抵抗を止める紬。
中也の云う通りだと判断したのだ。
太宰が絡めば事が悪化することは火を見るより明らかだから。
が。
「まあ、もう遅ェけどなァ」
「は?」
ガチャッ
中也がニヤッと笑ったと同時に扉の開く音が響いた。
「「……。」」
「遅かったなァ太宰」
リビングに入ってきて早々に乱れた服装の紬が目に入り言葉を失う太宰。
が、直ぐに呆れた顔をして紬の上に覆い被さった。
「で?私が居ない間に抜け駆けなんてずいぶんじゃない?中也」
「違ェよ。どっかの誰かさんが、あろうことか男に一服盛られたらしいから何もされてねーか確かめてる最中だったんだよ」
「何で云っちゃうかな!?」
「へぇ……」
太宰の目が細められる。
あ、終わった。
紬は頭は早々に諦めるも、口だけは最後の抵抗をみせた。
「治、本当に何もされてないんだって。ほら!2人より薬物の耐性はあるしっ……!」
「そうだね」
ニコッと笑って優しく紬の頭を撫でる太宰。
「じゃあ確認するから服を脱ごうね?」
「いや、その必要はっ……!」
「ほら中也、手伝って」
「おう」
「中也の裏切り者!!」
キッと睨む紬をニヤニヤしながら見ている中也。
「ん?中也が乱暴だったから暴れたのかい?だったら私が脱がせてあげるから。あ、触られただけなら見ても分かんないか。如何する?中也」
「治っ!?」
「そりゃ消毒するしかないな」
「ちょっ、中也!?」
慌てる紬の服を太宰が素早く剥ぎ取ってしまう。
「そろそろ飯出来るから手短にしろよ」
「分かってるって」
紬の頭を膝から降ろして端末を2つとも手にとってダイニングテーブルに移動する中也。
「待っ……!?」
「何処、触られたの?」
「頬!だからそんなところ…ぁ……!」
そんな兄妹のやり取りをBGMに
中也は部下に返事を返し、もう1つの端末を手に取った。