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【文スト】対黒・陰

第19章 策動


首領に報告を済ませ、簡単に事務処理をこなして紬は何時もより早い時間に帰宅した。


「……何か可笑しいだろ手前」

「んー」


帰ってくるなりソファに座って本を読んでいた自身の膝に頭を乗せて横になった紬に話し掛けるも反応は薄い。

中也が諦めて溜め息を着いたタイミングで仕事用の端末と私事用の端末の両方が着信を告げた。
私事の方は相手も内容も想像が付いた中也は先に仕事用の端末を手にとって内容を確認した。


「………おい」


内容の確認が終わった途端に機嫌の悪い声で紬に話し掛ける。

「ん……?何だい……」

返事をするのも面倒だと云わんばかりに紬が答える。

「何だ?じゃねぇよ、この莫迦女!態と一服盛られたらしいじゃねーか!」

中也の不機嫌を悟ったのだろう。漸く反応した紬の頬をギュッとつねりながら続ける。

「いふぁい……!」

ペチペチと手を叩いて離せと主張する紬。

「あーもう。中也の部下達?一々そんな報告要らないのに」

「云え。誰に何を盛られた」

「中也の取引相手の男に睡眠薬を盛られただけだよ。目くじらを立てられる程のことじゃあない」

「………あの狸男か」

瞬時に自身の行う筈だった任務を頭に浮かべて、チッと舌打ちをする。

「仕返しに半殺しにしたから二度と歯向かえないさ」

「……。」

そう告げた瞬間に中也が紬の着ていたベストとブラウスのボタンを外し始めた。

「ちょっ……!?何してるのさ!」

「あ?確認すンだよ」

「何もされてないってば!」

「何もは嘘だろ?半殺しにしたっつーことは『手前に触れた』ってことだろーが」

「っ!」

手を止めない中也に反抗を始める紬。

「寝たフリした際に頬に触れられただけだって!」

「おーそうかい。じゃあ別に見られても困ンねーだろ?確認するわ」

「っ…嫌ってば!」


バタバタと本格的に抵抗し始めた紬に、はぁ、と溜め息を着いて見せる中也。
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