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【文スト】対黒・陰

第3章 出会


「『黒蜥蜴』が3人動いていてこの様なんてっ…!」

樋口は奥歯を噛み締めてに云った。
報告にきた男が膝を折ったまま動けないほどに樋口は激昂していた。

そんなところにと叩敲が響き、樋口はハッとする。
入室を許可して。

「……っ!?」

入ってきた人間の顔を見るなり、懐にいれていた銃を構えたのだった。


「おっと。やれやれ血気盛んだねぇ」

「探偵社!何故、此処に…っ!」


両手を挙げて降参の姿勢を取る訪問者に怒鳴りながら樋口は銃の安全装置を外す。

「私は君と話をしに来ただけだよ」

「話ですって!?」

引き金に指を入れた、その時だった。


「首領からの伝令で………っ!?」

ジャキッ!
下級構成員が入室してくるなり、この光景を観て、銃を構えた。

「なっ!?」

然し、その銃口は樋口を向いている。
膝を折って待機していた男は全員を見渡すも、動かないでいた。

「貴様っ!太宰幹部に何をっ…!」

「貴方こそ何を云ってるんです!?彼は――」


「止め給え」


「「!?」」

紬の言葉に、後から入ってきた伝令の男は素早く銃を仕舞い、膝を折った。

「私は彼女と初対面でね、驚かせてしまっただけなのだよ」

紬は君も銃を仕舞い給え、と樋口に促す。
樋口は一瞬躊躇ったが、この場は大人しく従った。


「然し、幹部にその様な所業っ…!」

「私がね、唆したのだよ」

ニコッと笑って云う。

「で?首領からの伝令は何だい?『黒蜥蜴の回収完了の件』?」

「はいっ……あと首領の元に、と」

「!」

「そう」

『首領の元に』
その言葉を聞いて樋口は少し青くなる。


「君、首領に『太宰』が先客で居たことを伝えてきてくれないかい?」

「はっ!」

男は一礼して去ろうとした。

「あ、先刻の事は忘れてくれ給えよ」

「!?それは出来ません!幹部にあの様な所ぎ「君は」……!」


男の反論を紬が遮る。


ゾワッ

「「「!?」」」



「何も見てない、そうだよねぇ?」



静かに告げられる言葉と、殺気―――。


思わず全員がガタガタと震える。
伝令の男がゆっくりと一礼して、紬は漸く何時も通りに戻った。

「君も。一寸、席を外してくれるかい?」

膝を折ったままの男は頷くと、先刻の男を追うように足早に去っていった。
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