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【文スト】対黒・陰

第3章 出会


執務室に戻ってから紬は机に向かって積まれた書類を片付けていた。

何時もより書類が多い理由は仕事で幹部が一人不在しているから―――。


「中也が戻ってきたら酒を奢らせよう」


そうぼやきながら熟して早数時間。

コンコンコン

「どーぞ」

突如響いた叩敲で、紬は紅茶を飲みながら書き物をしていた手を止めて扉の方を向いた。
「失礼します」と云って入ってきたのは下級構成員の男。

「首領からの伝令で上がりました」

「口頭なんて余程の急ぎか。で、何だい?」

男は一礼して、述べる。


「『黒蜥蜴の回収を』との事です」

「……。」

紬は溜め息を着いた。
自分の想定よりも被害が大きいものだったのだ。
態々、自分に指揮を寄越すほどなのだから。

紬は紙に何かを書いて、男に渡した。


「それ以上の人数は行かないでくれ給え。今は昼時だ。色々面倒な事になる。その紙の通りに、いいね?」

「はっ!」


男は一礼して部屋から出ていった。


「一寸、釘を刺しておくかな」


紬はカップの紅茶を一気に飲み干すと再び目の前の書類に向かって書き物を始めた。


―――

それから数時間して紬の元に『任務完了』の報告がやって来た。
それを聞いて紬は立ち上がって男たちと一緒に部屋を出た。

「芥川君が何処か分かるかい?」

「え?あっ…いえ!済みません!」

「そう……ってそんなに慌てずとも咎めたりしないよ」

紬の質問に答えられなかった男の顔はサッと血の気が引いた色をしていた。

「では『黒蜥蜴』の上司は?ええっと……確か樋口君だったかな?」

「樋口さんなら○○室に」

「そ。有難うー」


紬は軽くお礼を云って其方へと歩いていったのだった。

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