第18章 本心
「ああ、そうか!」
ピンときたと云わんばかりに手をポンっと叩く。
「私が女だから、かな?」
壁に張り付けられた男の肩が上がった。
なんて愚かなーーー。
中也の部下2人は思わず息を吐き出した。
そして、隣に居るもう1人の女性に目をやった。
「ーーー。」
固まっているのだ。
微動だにせず、目を見開いたままで。
おい、山吹さん見ろよ……
あ?あ。固まってる…のか?………無理もないけど
だな……。よっぽど先刻の幹部の始末が怖かったんだろ
ああ……たった二言で片を付けられた太宰さんの手際の良さ、というか残忍さというか………
………早く帰りたい
同じく
この状況において、同じ心境だということを認識し合った2人は再び壁の男の方を見た。
「これは女だからと見下されていたと激昂すべきか、女性扱いをしてもらえて嬉しいととるべきか悩むところだねー」
またまた態とらしく腕を組んで考える素振りを見せる。
「ねえ、君達は如何思う?」
「えっ…!……あ、前者だと思います」
「同意見です!」
「!?」
急に話題を振られて戸惑いつつも即座に返答した2人。
それを何とも云えない表情で見る男。
「ああ、矢張りそうか。私、何故だか初対面の人間には『間抜け』とか『雑魚』って云われるのだよねえ」
いや、それは頻繁に敵に捕まっては人質になってばかりだからではーーー
などと思いこそすれど口には出せない2人。
人質になった紬を、自分達の上司が怒りながら迎えに行く迄がワンセット。
2人は直近の、『そのような場面』を思い出していた。
そして先刻、思ったことを口に出せなかった理由のところまで回想を進める。