第18章 本心
紬が目的の場所に到着すると、そこはガシャガシャと金属がかち合うような音が鳴り響いていた。
音のする方へ近づいていくと紬に気付いた黒尽く目の男が2人、膝を折った。
ーー中也の部下2人だ。
紬がヒラヒラと手を動かすと2人は体勢を元に戻す。
「お疲れー。早く帰っておけば良かったのに災難だったねえ」
「いえ、仕事ですから」
とはいえ、顔には疲れが滲んでいた。
無理もない。帰ることも碌に休むこともせずに任務に当たっていたのだろうから。
「今日は特に何もないから昼から休むと良いよ。首領には私から云っておくから」
「いえ、そんな訳には…」
「君達に何かあれば中也の機嫌を損なうのは目に見えてる。借りを作れば、私が貸すときに上乗せ出来ないだろう?だから遠慮しないで」
「「…………では御言葉に甘えます」」
理由に納得した2人は素直に返事した。
うんうん、とにこやかに頷きながら視線を移す紬。
何時の間にか響き渡るほどの物音が消えているーーー。
「却説」
紬の声に目の前の男と、それを牢の中から見ていた男の1人がビクッと肩を震わせた。
「何故、私が此処に来たか判らない君ではないよね?」
「あっ………あ…………!!」
紬の目の前の。
壁に手足を拘束されている男がカタカタと震え始めた。
立っているのが面倒なのか紬は向かい側に椅子を起き、座った。
「横を見給え」
その言葉通りに男は横を見た。
目に写るのは男が3人。
次にこの壁に繋がれる予定の男達だろう。
「見ての通り、相棒が休暇中だから仕事が溜まっているのだよ。なので君に時間なんて割いていられないんだ」
はあー。と態とらしく息を吐く。
「無言は肯定。虚偽は即座に死を与えるーーー良いかな?」
「っ…!」
紬はヘラヘラとした態度を変えずに懐から銃を取り出した。
男は声を出せずに、息を荒くする。
「空港に向かっていたけどーーー逃げる心算だったの?」
「っ!?違っ…!!」
パンパンッ
「「「!?」」」
「あ"ァァあぁあ"…………!!!」
男の眉間と胸に穴が開き、其処から赤い液体が吹き出す。
間もなくして男は絶命した。