• テキストサイズ

【文スト】対黒・陰

第17章 芽生


テーブルに凡てのおかずを並べ終えたのか中也が着席する。

「「「いただきます」」」

そろって食事を始めて暫くのことだった。
鳴ったのは太宰のスマホだ。

「んー?誰だい、こんな早朝から」

「いや、カーテン閉まってるせいで判んねぇだけで、もう9時過ぎてるからな」

「まあ遅刻常習犯の治にとってすれば早朝だよね」

と、答えた瞬間に今度は紬の端末が着信を告げる。
太宰は出ることなく食事を続ける選択を取ったが紬はそうも行かないようだ。

「もしもし」

『お休みのところ申し訳ありません』

電話の相手は中也の部下その1だった。

「いいよ急用でしょ。何だい?」

『××さんが離反しました』

「××?誰だっけそれ」

『昨日、任務を失敗した準幹部です』

「あー。そういえば今日処分するって云ったっけ」

『はい』

「それで何で離反?」

『太宰さんが帰られた後、首領に呼び出されておりまして』

「うん」

『その後、私共も首領から直々に新たに任務を仰せ使いまして』

「ああ、その××とやらを今まで見張ってたのか。ご苦労様」

『あ、いえ………詳しい説明は要らないと受け取って宜しいですか?』

「うん。『離反の可能性があるから見張っておくように』って命令されたって事でしょ?」

『はい……』

「それで首領の予想通り、出社せずにーーー空港にでも向かっていると」

『………その通りです』

「一般人に見付かっても構わないから捕獲しといて。捕獲後はあの3人と同じ場所に入れて。後でまとめて片付けるから」

『承知いたしました』


ピッと通話を切って食事を再開する紬。

「なんだ。手前が尻拭いした部下って××だったのかよ」

「そうだよ。中也が甘やかしてあげていたからその地位に着けていたと云うのに、その事に気付かず、あまつさえ天狗でいたらしいじゃないか」

「別に甘やかしたくて甘やかしたわけじゃ無ぇよ。首領が『あのタイプの人間は利益に目が眩み、内部に侵入した害虫に犯されやすい』との仰せだったからボロがでるまで飼ってただけだ」

「まあ、そんなことだろうと思ったけど」

「紬が負ってる仕事と関係があるの?」

「無いよ。私の案件は、あの地位を懐柔する程の力は無いから」

「そっか」

ズズッと味噌汁を吸いながら太宰が云う。
/ 357ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp