第15章 首輪
「君は何か勘違いしていないかい?」
「………何?」
紬の言葉にピクッと反応するA。
「私は死ねると云われたから首輪を嵌めた。君の命令に従う奴隷になった覚えはないよ」
「その首輪を嵌めた時点で私の奴隷だ。彼等と同じね」
不敵に笑うAに周りの男たちがビクッする。
「やれやれ……」
紬は溜め息を着いた。
「君が私を使うなんて無理だよ」
「………何を根拠に」
「そうだなあ……。あ、丁度良いや」
「「?」」
「コレで試すかい?」
紬はニッコリ笑った。
ーーーー
「ではポーカーを」
「わっ…私も!?」
「いいじゃないか暇潰しだよ、暇潰し」
Aが配ったカードを見ながら紬は鼻唄を歌い始める。
その余裕が気に入らなかったのだろう。
Aの眉間にシワが寄る。
こうしてポーカーが始まった。
カードを棄てる事を数周繰り返し、紬が山札に手を伸ばした時、Aはニヤリと笑って話し掛けた。
「太宰幹部、貴方には兄が居るそうですね」
「……それがなんだい?」
ピクッと反応して手を止める紬。
「執務記録を拝見しましたよ。残忍残虐さを兼ね備えたマフィアだったこと、そして組織を裏切っていること」
「えっ………裏切り!?」
「……。」
「そして何より『異能を無効化する異能』の持ち主だとか」
「それがなんだい?そんな事、何の弱味にもなりはしないよ?現に私は『幹部席』に座っているのだから」
紬はフッと笑って山札からカードを取った。
「その裏切り者の兄とは双子だそうで」
「ーーー何が云いたい?」
手札からカードを切り捨てながら紬がAに云った。
「彼の異能の話題は触れ回っているのに貴女の異能の話は一切聞かない。否……貴女も『異能が通じない』と云う専らの噂だ」
「異能が……通じない……?」
「……。」
Aがカードを切って、ニヤッと笑い「コール」を掛けた。
バサッと表示されたカードは
ダイヤの『5』『6』『7』『8』『9』
「スっ……ストレートフラッシュ…!?」
山吹が思わず大声を上げた。