第15章 首輪
「おお!出来るのかい?」
「ええ、私の異能を以てすれば貴女を殺すなんて簡単ですよ」
「一寸待て」
2人の会話に中也が加わる。
「コイツは暗殺部隊でも殺せやしねーぜ?そんな口約束して大丈夫かよ」
「いやっ、ちょっと中原さん!?それ以前に殺す約束の方を如何かすべきじゃっ……!!」
山吹が慌てて中也にツッコミを入れる。
が、中也の目はAを捕らえたままだ。
「幹部同士、殺し合いをしようと云うのではありませんよ。ただ、私の異能ならば派手に争わずとも『何時でも殺せる』状態にすることが可能ですから」
「……。」
中也は少し黙る。
「内部抗争なんてされちゃあ後始末が面倒だ。手前ェの云う『異能』だけで片付くんだな?」
「勿論。絶対に他の方には迷惑は掛けませんよ」
Aは細い目を更に細めてニンマリと笑った。
「じゃあ如何でもいい、好きにやってくれや」
「中原さんっ!?」
「あ?何だよ」
「いや、今の発言は太宰幹部の殺しを容認したものですよ!?」
「ああ。何か問題でもあンのか?彼奴が望んでんだ。俺がとやかく云うことじゃねーよ」
「しかしっ…!」
山吹は周りを見渡した。
首領である森も、紬の隣にいる紅葉も反応が無いのだ。
極めつけは
「あー退屈な会議だと思っていたけどこんなに愉快な内容だなんて今日だけは中也に感謝しよう~♪」
鼻唄混じりで上機嫌な紬。
狂ってる………!!
山吹はカタカタと震え始めた手を力一杯握りしめた。
ポンポンッ
頭を軽く叩かれて、叩いた人物ーーー中也の方をバッと見上げる。
しかし、それだけだった。
中也は声を掛けることも山吹の方を見ることもなく、ただ、目の前に座るAを見て
「!?」
ニヤッと黒い笑顔を浮かべているだけであった。