第14章 双子
「如何云う事だ?」
「マフィアの目的は危険薬物……『理想郷』なんかじゃないーーーだろ?太宰」
「正解です乱歩さん」
太宰はニコッと笑って返事する。
「私と敦君は昨日、何者かに『毒』と思われるものを盛られた」
「そういえば『解毒剤』がどうのって云っていたな」
「そう。この『理想郷』の影で、別の何かが横浜を汚染し始めているようなのだよね」
「マフィアたちはそれを捜しているのか」
「そう。彼等の縄張り意識は強いから」
ニッコリ笑って云った。
「あ、そう云えば!」
敦はハッとした。
突如、思い出したことがあったのだ。
「警察!一緒にいた警察官の方は!?」
「警察官は生きているよ」
「良かったぁ……」
敦が安堵の息を漏らす。
「死んだのはマフィアの下級構成員か」
「そうです。恐らく紬の指示で動いていた者でしょう」
「「「!?」」」
乱歩と太宰だけ違う場所にいるかのように
2人は会話を続ける。
「学生に目撃されている黒尽く目の奴が、警察官を襲って成り済ましたってところでしょう。『死亡推定時刻』を確かめるために」
「警察が何処まで掴んでいるかを知るためにそんな事までするなんて矢っ張りお前の妹は危険だな」
「うふふ。それも可愛いところなんですよ」
太宰が照れながら答える。
「だからね、敦君。紬は解毒剤を持って私の家に居たのだよ」
「!」
「彼が本当に警察官だったならば、今頃もっと世間を賑わせているだろうがーーーそんな話はあがってこない。となると……」
「僕たちに捜査結果を云いに来た男はマフィアだったーーーってことになるんですね」
「そう。マフィアは痕跡を残さないからね。彼が死んだことは公にならない」
「……。」
そう云えば紬さん
『部下が数名、謎の死を遂げている』って云ってた
敦は昨日の事をぼんやりと思い出していた。