第14章 双子

「本当に妹も兄にそッくりだったねェ。他人に迷惑掛けてるとことか」

「太宰さん、本当に双子なんですねー！」

「引き摺られていくところとか太宰さんと国木田さん観てるようでした」


和やかに話す組。


「何故、止めたんです？乱歩さん」

「危険だよ彼女」

「！？」

「思考が太宰より黒い。黒い社会の住人だからその残虐さを厭わない。それと」

「それと？」

「以前、社長に挨拶で手を伸ばした際、太宰が慌てて止めた。今回はそれを素敵帽子君がやった。わざわざ『国木田の方の動きを止めて』だ」

「！？」

「太宰と一緒で触れれば発動する型の異能かもしれない」

「しかし、あのマフィアは彼女に触っていた」

「コレばっかりは詳しくは僕にも判んないよ！」

「すっ、済みません！」


真剣に話す組。
それとーーー


「紬さん、鏡花ちゃんの上司だったの？」

「判らない……。会ったことない」

「あ、そうなんだ」

「『棄て駒』って云ってたし」

「ーーーっ！」

バッと鏡花の方を向いた敦が口を開けたその時だった。

「『解放された』ってことだよ敦君」


「「「「！？」」」」

先刻まで聞いていた、騒然と去っていった声が間に入ってきた。

全員がそちらの方を向く。


「だ、太宰さん！？」

「だ～ざ～い～………貴様ぁ！！！」


姿を認識すると同時に国木田が首を絞めたため、ぐふぅ！と呻き声をあげる太宰。


「痛たたた！！国木田君！？ちょっ、痛いから！！ギブギブ！！」

「………今度は本物の様だな」


太宰を解放して溜め息を着く。


「紬でしょ。下で会ったよ。いやー妹が迷惑を掛けたねえ」

「全く気付かなかッたよ。双子って本当だッたんだねェ」

「うふふ。可愛いでしょ」

「貴様に似て、性格は最悪だったけどな」

「あれでも大人しくしていた方だと思うよ。中也が引き摺って帰れるほどだったし」

「……。」

あれでか、と。国木田が頭を抱えた。


「貴様がちゃんと会議に出なかったから大事な資料と押収品を持っていかれた」



「「最初からそれが目的だった」」


「「「！？」」」


乱歩と太宰の声が綺麗に重なった。