第14章 双子
「中島敦君」
「っ、はい……」
突然、話を振られてビクッとする敦。
「取引内容は覚えているかい?」
「え…?」
「マフィアと取引だと!?」
国木田が敦の方をバッと見る。
「落ち着け国木田」
「然し、乱歩さん!」
そんな争いの中、敦は昨日のやり取りを思い出す。
「解毒剤と引き換えに『毒を盛った人間の確保』ですよね?」
「そ。然し、昨日の連中の中にどうやら犯人はいないようだ」
資料をヒラヒラさせながらフッと笑う紬。
「後はこの『資料』と『薬』を元に自分で捜すことにする」
「!」
そして紬は国木田の方を向いた。
「私は探偵社員2名の命を救ってあげたのだよ?たかだか市警の作った資料と押収した薬だ。取引材料としては安いと思わないかい?ーーーー国木田君」
「っ………!」
国木田はワナワナと震えているがそれ以上はなにも云わないし、動かなかった。
「物分かりが良いねぇー。まあ、嫌いなタイプだけど」
「終わったか?」
「うん。じゃあ帰るかなー」
和やかに敦に手を振る紬。
その首根っこをガシッと中也が掴んだ。
「逃がすかよこの放浪者!何度も云ってるが時間おしてんだよ!!」
「ちょっ……中也っ!?……首っ!首絞まって!……ぐっ…」
「「「「「「………。」」」」」」
中也にズルズルと引き摺られて。
マフィア2人は去っていったのだった。