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【文スト】対黒・陰

第14章 双子


「やぁ中也。何の用だい?私、いま会議で忙しいのだけど」

にこやかに云った太宰の頭をガシッと鷲掴みする。
その額にはくっきりと血筋が浮かんでいた。


「ほぉ、そうかい。随分と仕事熱心なこった。だが俺も云ってたよな?今日は大事な会議だから絶対参加しろって」

「っ何だと!?太宰!貴様、真逆ポートマフィアに戻ったんじゃないだろうな!?」

国木田が慌てて口を挟む。
が、太宰は一切聞いていない。


「痛たたた!!中也、ちょっ!痛いってば!もげる!もげるーー!!」


ギリギリと手に力を込めて太宰の頭を握り潰す勢いの中也。
そして

「あーーー………」


「「「「「「!?」」」」」」

ずるっと。
頭部がもげたのだった。
全員がギョッとした顔で太宰を見る。


「もげちゃったじゃないか。痛いなあ、もう」


しかし、太宰は生きていた。
パサッと、何時もより長い髪が肩に掛かってから第一声をあげる。
その声は何時もより柔らかく、高い。


「何が『痛いなあ』だ!この糞女が!時間おしてんだよ!!行くぞ」

「なっ……!」

「えっ…紬さん?!」


全員が。
乱歩ですら目を開いて驚いていた。


「やあ、敦君。数時間振りだね」


驚かせた本人は爽やかに挨拶を繰り出す。


「太宰は……太宰を如何した!?」

「何を云っているんだい?国木田君。此処に居るじゃないか」

「!?」


太宰の声で話す紬に混乱する一方だ。
そんな光景を見て、呆れながら溜め息をつく中也。

「そのくらいにしておけよ紬。また兄妹喧嘩でもおっぱじめる気か?」

「それはもうやだ」

やれやれ、と目の前のもの凡てを手にとって太宰こと紬は立ち上がった。


「じゃあ女って………紬さんの事ですか?」

「あ?コイツ以外に此処に用事なんか………って、ああ。鏡花か」

中也は敦たちの背に居る鏡花に気付く。

「まあ、確かに『裏切り者』っちゃあ裏切り者だな………如何する?紬」

「え?私に振るの?」

「手前の配下だっただろうが」

「「!?」」

中也の言葉に敦と鏡花が反応する。
しかし、紬の反応はもっと酷かった。


「そうだっけ?」

「「「「「えっ」」」」」


額に手を当てて考える振りをする紬。
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