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【文スト】対黒・陰

第14章 双子


「まあいいや。国木田続き」

「はい。話が飛び飛びで判りづらいかもしれないが、その実験材料の薬の高額さに悩んだ連中が、その実験で生じたモノを売買することを思い付いた………その取引を行っていたのが『A』です」


「詰まりは『A』が仕入れと売人、『B』が製作者ってことか」


「ああ。昨日逮捕されたのは『B1』が1人、『A』が3人だったそうだ。研究室に在室している人間凡てが関わっている訳ではないようで、他の仲間については一切黙秘している。ーーー以上がこの事件についての報告だ」


国木田が資料を最初の頁に戻した。


すると飴を咥えながら会議に出ていた乱歩が一言、云った。


「国木田、その研究室の講師が主犯だ」

「「「「!?」」」」


その言葉に太宰以外の全員が驚く。
太宰も目をぱちくりとしているが話の内容に驚いている様子では無かった。

「逃げられるか、殺されるね、そいつ」

「っ!直ぐに手配をーーー」

そう国木田が云った瞬間だった。


「大変ですわ!!!」


ナオミが会議室に慌てて入ってきたのだ。

「ナオミ!?如何したンだい!?」

直ぐに谷崎が妹に駆け寄る。

「マっ………マフィアの方がっ……『邪魔してる女を連れて帰るから』って事務所にっ……」

「「「!?」」」

「女って……真逆、鏡花ちゃん!?」

「っ!」

敦と賢治が鏡花の前に立ちはだかったその時だった。


「邪魔するぜ」


「「!?」」


帽子を被った男が会議室に入ってきた。


「アンタは中原中也じゃないか……」

「あ?ああ、あン時の女医か」

中也が与謝野をチラッと見て云った。
が、本当にチラッとだった。直ぐ目的の人物が目に入ったようでズカズカとそちらに向かって歩き出す。


「っ!鏡花ちゃんは渡さな」


「こんなところで何やってンだ?あ?」




「「「「え?」」」」



中也は迷わず太宰の元に向かった。


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