第14章 双子
「先ずは化学反応を見たくて実験……否、薬を精製していたグループ。これが『B』だそうだ」
「ふーん『A』じゃないんだ」
「ああ。彼等は化学反応が見たいが為にネットであらゆる薬を買って実験を行おうとした。此れを最初に思い立ったメンバーが『A』だ。だから『B』の連中は『A』が持ってきた薬で実験を繰り返していただけだから、『A』の連中も高値ではあったが自分達で購えるものだから、と共に危険薬物だとは知らなかったと供述している」
「闇サイトか」
「ああ。警察が供述通りにサイトにいったら取引されている薬物は凡て違法ドラッグだったそうだ。今頃、そのサイト主も逮捕されている。」
眼鏡を掛け直して国木田が続ける。
「そんな状況で、危険なのではと判断して直ぐに手を引いた連中のことを『B2』と呼んでいるそうだ」
「だッたら『B2』の人は関係無いンじャあ」
「その通りだ。たまに研究室に来ては止めるように警告をしていただけのようだ」
「あ、そう云えば昨日の子達も『B2』が心配してくれてたって云ってたような」
「だから彼等は『B2』に関しては一切、黙秘している」
太宰は資料をめくりながら敦の方を向く。
「敦君、因みになんて心配してたか聞いてない?」
「あ、えっと………なんだったかな……確かマフィアがどうのって………」
敦は頭を抱えて必死に思い出そうとしている。
「そのことだが、昨日の死亡事件の際に野次馬に紛れて黒尽く目の男が居たらしい。その男の目撃情報は多数挙げられているが、特に何かするわけでもなく去っていったそうだ。で、恐らく同一人物と思われる人間が『彼奴等の死はこの混乱に乗じてごろつきがヤクを盗むための前座だ』と呟いていた隣に、偶々『B2』の者が居たらしい」
「あ、それです!それと同じことを云ってました!」
「おー!ラッキーですねー!」
「「……。」」
賢治が感嘆の声を上げるが、太宰と乱歩は難しい顔をした。