第2章 双黒
ゾワッ……
「「!?」」
それまで穏便だった紬から急に寒気を伴うほどの気が発せられた。
「君たちは『黒社会』の住人ではないのかい?」
「……。」
男たちは一気に紬の話を集中して聞き始める。
反して、中也は隣で欠伸をしながら紬のやり取りを聞いていた。
「マフィアにおいて大事なのはこの様な場に於ける交渉だよ。その際に、嘘を付くことはリスクが大きい。違うかい?」
「……。」
紬は続ける。
「それに私は事態が早急に終息するように提案してあげている方だと云うことを忘れないでくれ給え」
紬がそう云い終えると、3人の男が船に向かって行った。
「3人か。そこそこな人数だねぇ」
「……船に潜んでるかもしれないからな」
「うふふ。そんなことしてないよ。実際、此処には私達2人で来ているからね」
紬ニッコリ笑って云った。
完全に紬のペースだな
中也は船の方を観ている。
暫くしてピリリリリと、交渉に応じている男の懐から音がなる。
「如何だ?…………………本当にか?………そうか」
ピッ
そこまで終わって紬の方を見る。
「ね?」
「ああ……交渉に応じよ………」
ドオォォオン!
「「「!?」」」
船が大きな音を立てて、爆発した。
「おや。火薬でも積んでたのかい?」
「なっ……!」
大きな音につられてゾロゾロと倉庫の中から人間が出てくる。
その数およそ20人強―――。
「きっ……貴様…よくも‼」
「?何故、そんなに怒っているんだい?」
「貴様の仕業だろう!3人もっ……3人も未だあの中にっ……!」
男の声で全員が構える。
「私は『船を確認している間は此方の人間に危害を加えないことを約束した』覚えはあっても、船の安全面を保証した覚えは無いよ?それに船が動かなかったことは本当だっただろう?」
「黙れ‼」
男たちが一斉に攻撃を仕掛けてきた。