• テキストサイズ

【文スト】対黒・陰

第2章 双黒


「クソッ!」

バッと避けて、倉庫から飛び出る。

現在の状況把握や人数確認をしたいのにそれどころではない。

実際に、今度は火の玉が中也を襲う。


「ぬぉ!」


ギリギリで避けて、相手に向かうも向けられているのはホース。
撒かれるのは、水……

「またかよ!」

トッ!と跳ねて倉庫の屋根に飛び乗る。

屋根を破壊して再び中に入ると
一斉射撃と、先程までなかった火炎放射器による攻撃―――。


隙の無い攻撃だ。


攻撃を避けながら攻めに転じたいものの、中々そうはいかずに屋根に移動する。


そこから見えるのは海と、1隻の船――。


「俺たちの荷物を持ったまま異国に逃げる気か」


相手の計画が分かった瞬間に、仕留められる機会が今しかないことを知る。
如何するか。

そう考えていると、下から聞き覚えのある声が聞こえた。


「あー…あー……聞こえますかー?」


拡声器を使って話し出したのは人任せにして眠っていたはずの相棒だった。

「何やってんだあ?アイツは」

屋根の上から観ていた中也だが、直ぐに紬の隣に移動する。


「やぁ、諸君。お早う。今日は良い天気だねぇ」


声で女だと分かったのか。数人が此方に顔を出す。


中也はこの時、思った。

愚かな連中だな、と。



この女がマフィアの幹部である程の人物であることを知らないのだから―――。



「君たちが我々に降伏し、荷物を返却する意思があるならば我々にも考えがある」

「………交渉に応じなかったら?」


一人の男が代表で応じる。

「勿論、今すぐにでも今の続きを始める事になるね」

そう云って、スイッと船を指差す。

「?」

「どちらにせよ、あの船は動くことは無いよ」

「はぁ?」

「私が今の隙に細工を施したから」


紬が笑顔で云う。

「そんなの信じられる訳ないだろう!」

「私は交渉において嘘は付かない。何なら今すぐに調べても構わないよ」

「罠だろう!俺たちの内、数人が船に行っている間にその男が暴れるに決まっている!」


男の言葉にフムと頷く紬。

「では、船を確認している間は此方の人間に危害を加えないことを約束しよう」

「それをどう信じろっていうんだ!」


男が吠える。

/ 357ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp