第14章 双子
翌日ーーー
「先日から捜査依頼が来ていた『大学生死亡事件』の現段階での捜査結果が届いた」
武装探偵社会議室ーーー
ホワイトボードの前で資料を見ながら国木田が会議を始めた。
参加しているのは武装探偵社の調査員全員だ。
「先ず、手元の資料を見てくれ」
その資料には
死亡した大学生の個人情報を始め、死亡推定時刻、死因などが細かく掲載されていた。
「この事件、警察は『危険薬物』による異常行動ーーー事故死と判断して処理するそうだ」
それを大まかに説明し終わると、次の資料に移る。
「次ですが、昨晩その大学で敦が捜査を続けていたところ『危険薬物』に関わっている人物に遭遇。4名逮捕」
2枚目の資料はその4名の個人情報から始まっていた。
「矢ッ張り『危険薬物』だッたンですね」
谷崎が資料を読みながら呟く。
「そして此れが彼等が売買していた薬物だ」
「「!」」
国木田が掲げた袋には『小さな赤い錠剤』が入っていた。
正に、敦と太宰が聞き込みして仕入れていた情報通りの形状だ。
「彼等は『理想郷』(ユートピア)と命名して売り捌いていたそうだ」
薬を回覧され、最後に太宰の手元にやってくる。
その薬をまじまじと見詰める太宰。
「彼等は警察に捕まらないよう、綺麗に役割を分けていたそうだ」
「あ、もしかして『A』とか『B』とかですか?」
「そうだ」
次の資料に移る。
「国木田ー。グループの説明の前に『薬』の説明が要るでしょー」
「あ、そうでした。済みません」
乱歩に指摘されて資料を戻して説明を開始する。
「犯人たちは、『理想郷』は偶々行った実験により出来たものと供述している」
「実験、ですか」
「詳しくは専門分野じゃないから判らんが、研究したい化学反応を見られるとして調合していたらしい」
「1から麻薬を造るなンて難しいとおもうけどねェ」
「仰る通りです与謝野女医。彼等は化学式だけしか見ていなかった、麻薬とは知らなかったと供述していますが、それの材料の1つが『楽園』と呼ばれる薬物だったそうです」
「でもそれって可笑しくないですか?知らないのにどうやって手に入れてたんです?」
賢治が首を傾げながら問う。
「成る程、それでグループ分けか」
「太宰の云う通りだ」
ホワイトボードに書きながら説明を開始する。