第14章 双子
気が済んだのか。
暫くして行為を止めた太宰にすり寄りながら紬は先日のやり取りを思い出した。
「そう云えば治」
「何だい?」
「職場でヤりたくない理由って何?」
「別に紬以外とは自ら進んでヤりたくないよ?」
「そうではなくて」
判ってて話している兄の頬をつねる。
ギブギブと云われて手を離した。
「紬、ヤったあと暫くは無防備なんだよ」
「無防備?」
「そ。私と中也にしか向けない顔を誰にでもしちゃうの」
「……2人にしか見せない顔なんて」
「あるよ」
スパッと云われて押し黙る紬。
「一瞬で、誰でも落とせる位の破壊力がある」
「何だい、それ」
「うふふ。それくらい可愛く笑うんだよ……無意識なんだろうけど」
「……。」
額に口付ける太宰。
「急に何で?」
「中也にヤった後は『女の顔する』って云われたから」
「うん、その通りだよ」
「治まで……元より私は女なのに」
ドサッ
「…………他の人間の前でまで女にさせた覚えはないけど」
獰猛な眼で紬を見ながら覆い被さるように体勢を変えた太宰。
「2人以外とはシてない!」
「当たり前でしょ、認めない。何のために中也を傍に置いてると思ってるの」
「それについて深く考えた事は無いけど」
「別に良いよ考えなくても。私が云いたいのは別にそこじゃあない」
紬の手を押さえ、ブラウスのボタンを外し始める。
「ちょっ……治!?今日はシないよ!?大体、まだ具合がっ!」
「体調は絶好調だよ。紬が私の元へ訪れてきてくれた時点でね」
「私、風呂に入ってない!」
「要らない」
止まらない兄に、抵抗を止める紬。
「…治のバカ」
「おや、そんなこと云う?なんなら自覚がない紬の為にどんな顔をしているのか、きちんと写真に納めてあげるけど?」
「ヤメテ」
露になった肌に手を唇を這わせて意地悪そうに笑う太宰の首に腕をまわす。
「まあ、でも」
「?」
口付けの後、
「中也と私、2人から同時に攻められてる紬が一番可愛い顔して、一番可愛い声で啼くんだけどね」
「~~~~~っ!!」
太宰が云った言葉に
紬は一瞬で顔を真っ赤に染めたのだった。