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【文スト】対黒・陰

第14章 双子


紬はヘアピンで鍵を開けて真っ暗な部屋に入っていった。


「お帰り」

「ただいま」


玄関口からすぐの台所から声を掛けられて紬はピタッと動きを止めた。

「何で寝てないの」

「水を飲みにきただけだよ」

流し台にコップを置いて紬に抱き着く太宰。
寝るよ、と云っても動かない兄をそのまま引き摺るように移動する。

「ほら横になって」

「紬も」

「仕事中」

「やだ。一緒に居る」

ぎゅーっと抱き締めて放さない太宰に紬が折れた。
外套だけ脱いで太宰と共に布団に入る。


「紬ー」

「はいはい。もう朝まで此処にいるから」

「うん……………」

「……?」

髪をすくように弄っていた手が、言葉が止み紬が顔をあげる。

「治?」

ツーッと右首筋を指でなぞられて紬は原因に気付いた。


「あのチビっ子、紬が嫌がらせ禁止してなかったら絶対に爆弾仕掛けてやるのに」

「駄ぁー目」

「むーっ。紬の意地悪」

「抑も、治が挑発したりするからでしょ」

「だって久し振りだったから」

「そうだねえ……っ」



左の首筋に唇を這わせながら時折、吸い付く。
右側と同じ様に痕を残してから口を離すと紬のことを再び確りと抱え込み、今度は唇を貪り始めた。

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