第13章 協力
「敦君。あの部屋に這入った時に何か感じたことは無いかい?」
「感じたこと、ですか?うーん………」
敦は思い出そうと腕を組む。
「窓が開いていたことと、なんか薬臭いってこと以外は特に」
「それさ」
「え?」
太宰の言葉の意味が判らず首を傾げる敦。
その時、2人の元に警察官が歩み寄ってくる。
死体について連絡があったようだ。
「検視の結果、3人とも死因は『窒息死』、死亡推定時刻は昨日の午後8時から9時と判明しました」
「窒息死……」
「そうですか」
有難うございます、と。
お礼を告げたと同時にヒュッ!と何かが敦たちに向かって飛んできて、地面についた瞬間『パリン』と音を立てて割れた。
「?何の瓶ですかね。何も入って無いみたいですけど」
「抑も何処から飛んできたんだい?」
「彼方の方からでしたね」
と、警察官がそちらを向く。
植木によって見えないが、ガサガサと不自然に動いているそれは「誰か」居るのだろう。
そんな話をしている時だった。
「「「!?」」」
ドクン
不自然に脈打つのが判る。
その次に来きたのは『全身の痛み』と『目眩』だった。
「っ……仕舞っ……!」
「太宰さ…っ…!コレっ………」
「喋るなっ……急いでこの場をっ!」
警察官は仲間に、と敦達とは別の方向へ走っていった。
「っ………!何で………か……これ……」
「恐らく……毒だ……あの瓶には毒ガスが仕込んであったのだろうね……」
徐々に息が上がる。
全身が焼ける様に熱く、痛い。
グラッとバランスを崩す敦。
「しっかりして……敦君……」
太宰は敦に肩を貸し、大学を出るとタクシーに飛び乗った。