第13章 協力
向かった先は、探偵社ではなく自身達の住まいがある寮。
「探偵社……じゃ……?」
「いいから……」
寮に着く頃には太宰の方も息が上がっており、足取りが覚束無い状態だった。
太宰が鍵を取り出して差そうするが、上手く入らない。
ーーー視界が揺らいでいるのだ。
「っ………」
鍵穴に入らず、それを握っていた手の力すら徐々に抜けていく。
その時だった。
がチャリ、と。
鍵を開けた筈が無いのに音を立てたノブが回り、扉が開いたのだ。
敦は朦朧としている意識の中、その扉を開けた人物を見るべく、ゆっくりと顔を上げた。
「「矢っ張りーーー」」
太宰と、太宰の部屋に居た人物のだろう声が重なった。
「こうなった」
「此処に居た」
その次の言葉は違ったな、と。
顔をみるという行為すら出来なくなってしまった敦の意識は、この台詞を聴いたのを最後に途絶えてしまった。