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【文スト】対黒・陰

第13章 協力


翌日ーーー


「此処、ですか」

「その様だねえ」


敦と太宰はとある場所へ来ていた。


人集りを掻い潜って目的地へと向かおうとした矢先、制服を纏った男に引き留められる。


「学生かい?もう知ってると思うがこの棟は在学生でも立ち入り禁止だよ」

「あっ……僕たちは武装探偵社の者で……」

「!」

敦達を引き留めたーーー
警察官の男は敦が身分を証すと、すんなりと道をあけた。
その警察官に軽く会釈しながら敦と太宰は中へと入っていった。


「此処の建物だけ少し古いですね」

「そうだねえ」

太宰は窓の外を眺める。
先ほど掻い潜ってきた人集りは少しずつ拡大していっている。

「何を見てるんです?」

「ん?いや、なに。マスメディアの情報収集力と行動力の凄さをね」

「確かに……本当に凄いですよね」


敦達がいる場所ーーー
とある大学の研究棟で今朝、学生が3名死体で発見された。
第一発見者は、この研究室に在籍している生徒2名。
発見時刻は午前9時前だ。
その連絡を受けて敦達が動いている今は午前10時を回ったところ。

実に1時間しか経っていないにも関わらず、数多の記者達が学生に混ざって人集りを成していた。


「あれだけの力があれば私達の求めている答えも直ぐに見付け出せそうだけど」

「あはは……でも危険ですから」

「気にするかなあ、彼等」

「ははは……」


太宰の発言に苦笑しながら敦は黄色のテープで封鎖されている箇所に侵入する。太宰もそれに続き、直ぐにキョロキョロと周囲を窺った。

敦は現場の警察官から状況を聞く。

太宰も一緒に………かと思いきや。
教室の隅で青い顔のまま俯いている男性2人とそれを介抱するかのように立っている男性に近付いていった。

「こんにちは」

太宰が声を掛けると3人の視線が一気に太宰に向いた。

「君達が第一発見者かな?」

「そうです」

「そう。貴方は?学生には見えませんが」

太宰は介抱するように立っていた男に視線を移す。
未だ若いものの、俯いていた男2人よりは歳をとっている。40代前半だろうか。

「私はこの大学の講師の○○です」

「太宰です。貴方も生徒と同じように第一発見者で?」

「いえ。私は彼等が呼びに来て駆け付けたので第二発見者といったところでしょうか」

「そうですか」

太宰は口に手を当てて考え出す。
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