第13章 協力
「初対面の人間に失敗談を聞かれては今度は羞恥のあまりに顔を合わせられない事態になりうるでしょうから私は此処で失礼します」
カタッと立ち上がって首領に一礼する。
「いやー有難い配慮だ」
嫌味事が一切通らず
終始、笑顔のままでいる紬を睨み付けてからAは退室していった。
シーン……
一瞬の静けさが部屋を覆う。
それを首領である森が一番に………
「あの狐、云いたい放題云いよって!紬も何故否定せんのじゃ!」
「うふふ。まあ本当の事ですし……ねえ?中也」
「だな。人に仕事を押し付けたり嫌がらせ決め込んだりする時点で不出来もいいところだ」
「おや。空腹かい?中也。お腹を空かせて苛立ってるようじゃ子供もいいところ……ああ!だから小さいんだね!」
「んだと手前ェ!」
中也がガタッと立ち上がったと同時に首領である森がコホンと咳払いをする。
中也はハッと我にかえって直ぐに着席した。
「それで?」
漸く森が話を進める。
「現時点で報告するようなことは特にありません」
「そう」
先刻紬が云っていた『失敗』と云う箇所に触れることなく、森はニッコリ笑って終わった。