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【文スト】対黒・陰

第13章 協力


「……。」

紬は聞き取れなかった会話の部分を脳内で補填し始める。



『「怖か」ったな』

『ああ「死ぬか」と思っ「た」』

『「早」いとこ「『何か』」を「持」って行こ「う」』




「芥川君が接触した人間で間違いないか」



手元の機械と、会話と。
紬の中でーーーー凡てが繋がった。




紬はフッと笑い、そのまま男達との距離を詰める。

丁度、教室の一室に入ったところで男達は漸く紬に気付いた。


「っ!?」

「誰だ!?」


バッ!と此方を見た男達に満面の笑みを浮かべて話し掛ける紬。

「今晩わ」

「っ!何で此処にいるんだよ!」

「そっ…そうだ!此処は今、大規模な実験中で他の研究室の人間は立ち入り禁止ってなってるだろ!?」

男達が怪しまれない程度に返事をしてきた。
話の内容からこの大学の在校生に間違いはないのだろう。

「何分、そういう仕組みに不馴れなもので申し訳無いね。ところで、何の実験をしているんだい?」

「………女か?お前」

「?そうだけど」

声を聴いて紬の性別を確認する男。
お互いの顔を見合って、少し警戒心を解いた。

「新薬の研究だよ。今度の発表会に向けてのな」

「あー!それでこんな遅くまで籠って実験をしているのかーお疲れ様」

3人の内の1人が紬の質問に答えた。
それに対して紬は友好的なままに返事をする。


その間に、男が1人奥の部屋へと入っていき、直ぐに出てきた。
入っていくときには何もなかった手には、試験菅3本握られている。


ーーーー恐らく、運ばなくてはいけない『何か』、か。


紬は会話に重きを置きながらも、全員の動向を把握していた。


「で?お前の方は一体、何の用なんだよ。ウチの研究員生じゃあ無えだろ?」

「うん。私は「この薬」が欲しくて捜しているんだけど」

「「「!?」」」


ピラッと。
紬は先刻入手したばかりの『小さな赤い錠剤』を男達に見せる。
男達の顔が少し歪んだ。


「この薬の効きがとても良いと勧められたんだけどね。此れは高いから譲れない、然し、「此処」に来れば買えるって聞いたのだよ」

「っ……そうか……」


男が1人、反応する。
そして、他の2人に目配せをした。
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