第13章 協力
「場所は」
「◯◯公園の先の路地裏です」
◯◯公園。
規模は小さいが大きな街中に存在しており、通り抜けの目的で頻繁に使われる程に立地条件がいい。
その上、その公園のオブジェが特徴的な形をしているため若者が待ち合わせに良く利用してしているようだ。
「何だ。予想してたのかよ」
「新聞沙汰になっていた2件は、どちらもこの付近で発生している。其処から一番若者が利用して、尚且つ『売人』が『逃走』を視野に入れることを考慮すればそう難しいことじゃあないさ」
紬は3錠入っていた錠剤の内、1錠を割った。
表面だけが赤いようで中は白っぽい……よく見れば薄い桃色をしていた。
「コレ、どんな人間が運んでた?」
「若い連中です」
「一応、訊いておくけど『未だ』殺してないだろうね?」
「はい」
芥川は返事をするとスッと懐から四角の機械を紬に渡した。
ピッピッ…と光る点が点滅しながら動いている。
「上出来」
紬はフッと笑うと立ち上がった。
「紬さん、僕も」
「要らない」
「……。」
紬はそのまま部屋を後にした。
あからさまに落ち込んでいる芥川。
中也は報告書を読みながら声を掛けた。
「仕方無ェだろ。手前には薬物耐性が殆ど無ェんだから」
「!」
ハッとした顔で中也の方を見る芥川。
「得体の知れねえ『何か』に繋がっている事は間違いねえし、彼奴とてこれ以上の手駒の損失を許すわけにはいかねぇ。そう考えりゃあ手前を置いていく理由も説明がつくだろ。毒相手になら紬1人で充分だ」
「……。」
何の言葉も交わさずして互いの意図を詠む、か
芥川は中也に一礼する。
「失礼します」
「おう。あ、芥川」
「はい」
「樋口んとこ戻ンだろ」
「?はい」
「其処に預けてる女に今日は帰宅するよう云っといてくれ。そして、樋口を今日の報告に寄越せ」
「判りました」
芥川は退室していった。
自分以外、誰も居なくなった部屋。
中也は天井を仰いだ。
「………気乗りしねぇが俺も頑張るとするかねえ」
ハア、と息を吐いて。
周りにあった書類凡てを持って、中也も自室へと戻っていったのだった。