〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第78章 桃色媚薬-戯れと蜜の恋-❀明智光秀❀
────美依
俺が小娘への恋慕を自覚した事で、この薄汚い関係に若干後ろめたさも感じていた。
理由はどうであれ、この女はもう不要だと、そう思い始めてからは…
俺は情報を得ても、金だけを渡し、身体の関係を持つことを止めていた。
だが、女はそれが不服だったのだろう。
それが今回の出来事の発端となる。
『もうここへは来ない』
『知ってるよ、あたいに見切りをつけるって顔してる』
『……』
『ねぇ…あたいじゃだめかい』
『世話になったな』
『……っ待って!』
『……』
『お願い、最後に…光秀様と口づけがしたい。そうしたら諦めるよ、お願い……』
辛そうな顔をして、女はそう言った。
だから、俺は最後の情けだと思って…
その女と最後の口づけを交わした。
……だが、それが間違いだったと即座に気がつく。
唇が重なった瞬間、丸薬のようなものが口の中に入り、俺はそれを飲み込んでしまったのだ。
気がついた時には、もう遅い。
瞬時に身体は火照り始め、口の中が渇き…
そんな俺の姿を見ながら、女は言った。
『南蛮の催淫剤はよく効くだろう?これは、ちょっとやそっとじゃ収まらないよ。どうする、自分で何とかするかい?あたいだったら…光秀様を気持ちよーくさせてあげられる自信、あるよ』
意地でも、この女の世話になるわけにはいかなかった。
俺は女を振り払い、火照る身体を堪えて、何とか御殿の自室へとたどり着いた。
そして、今に至る。
媚薬が身体に入ったとなれば…
これを収めるには二択しかない。
誰かを抱いて、潤すか。
自分で慰め、渇きを癒すか。
手当り次第、遊女を捕まえるのもありだろう。
しかし──……
俺はそれをしたくはなかった。
もう、あの小娘が心にいるから。
────美依以外
抱こうなんて思えないから
こんな状態になっても思う。
美依にはせめて、真っ直ぐでいたいと。
あの純粋な瞳に、真正面から向かい合いたいと、そう思う。
だから、他の女は抱けない。
どんなに苦しくて渇いても。
美依しか欲しくない
それが叶わぬ祈りでも──……