〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第77章 桃色戯画-戯れに溺れる蜜ー❀織田信長❀
「遅くなってすみませんでした、信長様」
「美依……」
「早くお会いしたかったので、来ちゃいました。あの、ご迷惑でしたか…?」
(本当に、貴様という女は……)
どこまで俺を振り回す?
振り回して掻き乱し、そして…
俺をただの『男』に戻してしまう。
そんな自分が情けなくとも…
今は、今だけは。
貴様に溺れる、一人の男でいたい。
「きゃっ……!」
ふわりと抱き上げると、美依は驚いたように声を上げ、俺を見つめてきた。
やはり、本物がいい。
絵では見つめ返すこともなければ、声を発することもない。
それに…
交わる瞬間の悦びは、こうして美依本人が居なければ感じられないのだから。
────俺は貴様の中で
もっと至極の悦を感じたい
「おかえり、美依」
「はい、ただ今戻りました!」
「帰ってきて、早々に悪いが……」
「はい?」
「抱かれろ、今すぐ」
「……はぁ?!」
「十日も離れていたのだ、もう待てん」
「ちょっ、ちょっと待って…!」
「待てんと言った筈だ、褥に移動するぞ」
「待っ…信長様っ……!」
謹賀新年、
謹んで喜びを申し上げる。
色濃い空気を、天主から。
身も心も、桃色に染まり、
芽吹く春の訪れを知る。
「やんっ…のぶっ様ぁ…ぁっ……!」
「そうだ、もっと啼け、魅せろ……!」
淫画なんかより、もっと淫らな姫を抱いて。
響かせれば、甘声。
煌めけば、紅の迎春。
さぁ、桃色の蜜に溺れて。
たった一つ、秘密にするなら、
一人戯れて、汚した戯画。
戯れに溺れる蜜の春、
桃色に戯れる淫画は、秘密の秘密。
《桃色戯画-戯れに溺れる蜜-》
終