〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第77章 桃色戯画-戯れに溺れる蜜ー❀織田信長❀
(この娘は、一体何を考えて……)
絵の前に胡座を掻いて座り、膝に頬杖をつきながら、その絵をまじまじと凝視する。
月明かりに浮かび上がる、淫猥な顔。
眉を寄せ、瞳は半開きで、薄く開いた艶やかな唇からは、今にも艶かしい吐息が聞こえてきそうだ。
そして、はだけた胸元から零れる柔らかそうな胸も、薄桃色の先がぴんと尖っている。
何を考え、自慰に浸っているのだろう。
愛しい者を考えて?
身体が寂しくて疼いて?
色々な想像が掻き立てられて、頭の中をぐるぐる回った。
────美依に似た顔で
このような…淫らな行為に溺れる娘
「……っ」
そこまで考えた時、ひゅっとある考えが頭を過ぎった。
もしかしたら美依も…
こんな表情をして、自慰をする時があるのではないか?
愛しい者を頭で思い浮かべ。
女の部分を濡らして、指で弄って…
唇からは愛する男の名前が漏れる。
『信長、様ぁっ……』
────ドクンッッ
その刹那。
心臓がはち切れんばかりに高鳴った。
そして、それが合図のように、途端に身体が火照りだす。
美依の濡れた声が実際に聞こえたような気がして、荒れだす息を整えながら、また絵を凝視した。
俺を考えながら、美依は自慰をするのか?
俺に触れられているのを想像しながら。
その唇から名前を紡ぎ、いやらしく乱れるのか?
この春画の娘のように。
はしたなく脚を広げ、快感に浸って。
オ レ ヲ カ ン ガ エ ナ ガ ラ
「はぁっ…美依っ……」
火照りだした身体が疼く。
じくじくと蝕むように…
俺の理性や自尊心すら、崩れていく音がする。
この娘は美依ではないのに。
その姿は、もう美依が己を慰めているようにしか見えなくて。
その赤く染まった肌も。
華奢な身体付きも、喘ぐ顔も…
全てが美依と重なって。
『信長様ぁ…もっと……!』
絵の中の美依が俺を求めているような。
そんな心地に陥って、気がつけば自分の長衣に手を掛けていた。