〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第76章 純華溺愛恋情論《後編》❀明智光秀❀
そのまま一回額に口づけをし……
身体を起こして、再度座り直す。
流されるな、美依。
男など、ただの獣でしかない。
俺は、お前が泣く姿なんて見たくない。
臆病と言われれば、それまでだが……
ただ闇雲に抱くのは違うだろう?
「答えは…今は聞かない」
「え……」
「いきなり言われても困るだろう?それに…今言った『何者』には俺も含まれる。俺の色にすら、お前は染めたくない」
「……っ」
「お前が欲しい気持ちは、変わりないがな。お前を…傷つけたくないんだ、美依」
思わず苦笑すると、美依は身体を起こして俺を見た。
期待しているように見えた、その瞳は、今は戸惑いに揺れ……
美依を迷わせたか、そう思ったけれど。
複雑な本心は、拭いようのない事実だから。
お前が欲しい、でも傷つけたくない。
相反する感情でも、俺の素直な心だ。
お前を想うが故の…戯言であるけれど。
「……私の気持ちを無視しないでください」
(え……?)
すると、美依がそう呟き。
逆に俺の肩を掴んで、畳に押し倒してきた。
反転する視界。
天井を仰いでみれば、泣きそうに覆い被さる美依の顔が解って。
そのまま両頬を、小さな手で包まれたかと思ったら、唇に温かな温もりが落ちてきた。
「……っ!」
それは、啄むだけで離れていく。
離れてみれば、天井を背に……
林檎のように頬を染めた美依が、愛らしく睨むのが見えた。
「光秀さんは勝手です、なんでそんなに優しいんですか?」
「美依……」
「もっと…もっと自分をぶつけてください。欲しいなら、奪えばいいじゃないですか。傷つけたくないとか、染めたくないとか…私の気持ちはどうなるんですか?勝手に話を完結させないで……!」
「……っっ」
純二華サク、溺レルホドニ、愛シイ恋情
諭スナラ、俺ノ心二、抗エナイ熱ヲ
「私、光秀さんのこと、ずっとずっと好きでした。小娘にしか見られてなくても、貴方をずっと慕っていました。だから、貴方に染まるならいいの。私、光秀さんになら、何をされたって──……」