〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第76章 純華溺愛恋情論《後編》❀明智光秀❀
「政宗、お前っ……!」
「怒鳴るな、俺はお前が素直になる機会を作ってやったんだ」
「は……?!」
「お前言ったよな、俺が美依を貰うって言ったら、好きにすればいいって。そう思ってんなら、なんでここまで追ってきた?」
「それはっ……」
「ここがどんな店か、解ってて踏み込んできたんだろ?なぁ、なんで邪魔しに来た」
「……っ」
(政宗、こいつ……!)
俺を煽るのか、この男は。
美依の目の前で…何がなんでも、白状させる気か。
こうして、俺が本音を曝け出すしか選択出来ないように仕向けて。
「え、光秀さん……?」
不思議がる美依を目の前にして……
口先だけの嘘なんて、いくらでもつけるけれど。
それでも、美依を欺くなど出来はしまい。
そんな、純粋な眼差しで見つめられたら……
俺は目を逸らす事なんて、出来ないのに。
「政宗、お前はここから出ていけ」
俺は政宗を冷ややかな目で見下ろすと、淡々と言葉を紡いだ。
「美依と二人きりで話をする」
「……へえ」
「だから出ていけ、ここの金は俺が払う」
「了解、そーゆー事なら出ていくか……つまり『そーゆー事』なんだろ、光秀?」
「下世話な心配はしなくていい」
あくまでも冷たい口調で言うと、政宗は苦笑し、美依の頭をぽんと一回撫でて立ち上がった。
そして、不敵な笑みを浮かべたまま、部屋を出ていく。
すれ違いざま、政宗は俺の耳元でぽつりと。
俺に言い聞かせるように、呟いた。
「────お前も素直になれ、光秀」
そして、政宗は部屋を出ていった。
ぽかんと見上げる、美依を残して。
俺は政宗の一言に、こぶしを握り……
一回目を閉じて、『覚悟』を決めた。
そんな事は、解っている。
この状況で、嘘をつく程…俺は酷い人間では無い。
それに、美依は真っ直ぐ俺を見てくるから。
俺を信じる美依に、嘘などつけない。
なら、張られた罠に、まんまとかかって……
────俺は俺を曝け出すだけだ