〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第75章 純華溺愛恋情論《前編》❀明智光秀❀
「……っっ」
俺は思わず、二人の後を追った。
どこへ行くつもりなのか。
手を繋ぎ……二人はどーゆー関係なのか。
色んな疑問が浮かんでは消えていく。
すると、しばらく尾行したところで、二人は一件の建物の中に入っていった。
「……っ、この店は……!」
入った建物の前に到着し、その店を確認した途端。
ひやりとしたものが背中を伝った。
その店は──……
男と女がいかがわしい行為を行う宿。
つまりは『そーゆー店』であって。
それが、意味することは。
(政宗と美依は、これから──……)
「……っ」
思わず、口元を手で覆う。
つまり政宗と美依は、こんな外れにある宿で、人知れず身体を重ねようと……
そういう事で、間違いないだろう。
頭の中で、色々な考えがぐるぐる回る。
いつの間に二人は、そのような関係になったのか。
『俺が美依をもらう』
政宗がそう言っていたのは、ほんの数日前。
その数日の間に、美依は政宗のものになったのか?
元々二人は想い合っていたとか……
それなら、理由は簡単に説明がつく。
(……二人の関係に口出しする権利はないな)
必然にそう思い、俺は店に背を向けた。
そして、ゆっくり数歩歩き出す。
男女の関係に割って入るほど、野暮なことはない。
それに、俺は受け身を貫き……
自分の気持ちを見ないようにしてきた。
当然、それは美依も知らない。
だから、美依が誰と恋仲になろうが……
それは、俺が口出しして良い事ではないのだ。
まぁ、政宗はいい男だし。
美依が惚れるのも、少し解る。
きっと、美依を大切にするに違いない。
────そして、美依は政宗に染まる
そこまで考えた時、足が止まった。
これから二人がしようとしている事は……
美依が政宗色に染まると言う事。
真っ白なお前が、男の色に。
俺以外の男が……美依を汚す。
どくどくと、心臓が早鐘を打った。
そして、脳裏に想像したのは──……
あの白い肌を桃色に染め、
淫らに声を上げる、愛しい者の姿。