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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第74章 望月の恋人《後編》❀徳川家康❀




それは、乱世に輝く一点の光のような……
そんな印象を受ける気がして、秀吉は見上げながら、優しく口元を緩める。




「ん?なんかちょっと意味深な言い方じゃないか、それ」

「そんな事はないぞ、秀吉…くくっ」

「お前…二人の行方知ってるだろ、絶対」

「さぁ、どうだろうな」




呆れる秀吉、愉快そうな光秀。
二人を照らす望月は、静かに、でも煌々と輝いて。
廊下に、濃い月影を落としていた。














──── 一方、本日の主役はと言うと















「ちょっと…美依、転ぶよ?」

「大丈夫大丈夫、家康も早くーー!!」




足元に野花が咲き乱れる中を、美依が月の光を浴びながら走っていく。

俺は、苦笑を浮かべ──……
花婿姿のまま、それを必死に追っていた。



今日は俺と美依が結ばれた日。
美依は自分で仕立てた西洋の花嫁衣裳を見に纏い、なんと俺の分までしっかり仕立ててあったので、俺まで窮屈な洋装をしている。

その軽やかな純白姿の美依は、本当に綺麗で可愛くて。

欲目無しに、世界で一番綺麗な花嫁だと。
俺は心の中で、そう思った。




(しかし、あんなに走ったら汚れるな…秀吉さんあたりが叱りそう)




美依の無茶苦茶ぶりは健在だ。
今も宴の途中なのに、ここへ来たいと言い出した。
だから、こっそり抜け出し、馬を走らせ……

本当に、俺のお嫁さんはわがままで困ったものだ。




「はぁ〜、家康…月が明るいね!」




やがて、美依は野原のど真ん中で立ち止まり、両手を広げて天を仰いだ。
やっと追いついて見上げれば、蜂蜜色をしたまん丸い月が、翳りもなく輝いていて……

まるで、あの日の夜のようだと。
それを思い出し、少しだけ心が傷んだ。




「あの夜も、月明かりが明るかったね、家康」

「え……?」

「最後だって、家康に抱かれた…あの夜だよ」




美依が懐かしむように、ふふっと笑う。
どうやら、同じ事を考えていたらしかった。

俺は美依に向かい合うように立ち、その細い腰を引き寄せて……
間近で瞳を覗き込みながら、言葉を紡いだ。






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