〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第74章 望月の恋人《後編》❀徳川家康❀
「はぁっ、美依っ…ぁあっ………!!」
────びゅくっ!びゅくびゅくっ!
美依が意識を飛ばしたのは、俺が三回目の白濁をその身体に注いだ時だった。
眠る美依を見ながら……
俺は心に刻むように、何回も何回も名前を呼んだ。
頬に雫が滴って。
目の前が歪んで、すごく邪魔だった。
そして、俺は美依を天守に残し、その場を去った。
きっと、夜明けには佐助が来る。
そうしたら…美依は居なくなる。
心が死ぬ瞬間が訪れるのだ。
でも、めげてはいられない。
この状況を、早く突破しなければならないから。
隊を率いる将として。
無理矢理でも前を向かねばならない。
忘れてられなくても、忘れなくては。
そう思っていたのに……
美依は兎なんかじゃなく、したたかに強いのだと言うことを。
なんで、その時まで忘れていたのか。
それを、まざまざと思い知ることになる。
それは望月が沈み、太陽が登って来る頃。
佐助が俺の前に姿を現した、その刹那に思い知ったのだ。
『美依が、安土に援軍を呼びに行った……?!』
『はい、一人で馬を飛ばして』
『……っ、元の世に帰るはずじゃ……!』
『俺では、彼女を止められませんでした』
『は……?』
『ずっとそうしようと考えていたと…逃げるくらいなら戦うと、彼女は笑っていました。愛しているから、一緒に生きるんだと』
『……っっ』
『家康さん…約束を守れなくて、すみません』
『……敵を迎え討つ』
『え?』
『美依が援軍を連れてくるまでくらい、持ちこたえられる。佐助、お前も来い!』
『はいっ……!』
────その後、古城は混戦状態となり
秀吉さん率いる援軍が到着した事で、城を包囲していた顕如軍は全て地に倒れ伏した。
それで全て終わった訳ではないけれど。
美依の勇敢な行動が、事の明暗を分けたんだ。
俺は、ただ美依に謝りたくて。
酷い言い方をした事、酷い抱き方をした事。
再度古城に戻ってきた美依と対峙した時……
美依は俺に抱きつき、優しい涙を流した。