〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第74章 望月の恋人《後編》❀徳川家康❀
「んっ…んんっはぁ…あ……」
「んっ…美依、はぁっ……」
零れる吐息まで、絡めて混ぜ合わせて。
その薄紅の唇を貪るように、重ねる。
舌を絡め取れば、美依も必死に応えてきて。
その姿が、もう堪らなかった。
俺の美依、俺だけの美依。
────でも、さようなら
ぐちゅっ、ずっ…ぐちゅっ、ずっ…ぐちゅんっ!
再度、下から思いっきり突き上げる。
全てを貫くように……
想いの全てを、伝えるように。
「ぁあっ、深っ…ぁあぁぁぁんっ!」
「俺を忘れて、美依…こんな酷い男は忘れていいから……」
「いえ、やすぅっ…いえやすっ……」
「あんたは生きて、笑って、可愛い笑顔で…ふにゃふにゃ笑っていて、生きて……!」
「ぁっあっ!も、だめぇっ……!」
「俺の隣じゃなくてもいい、あんたが生きていてくれるなら…俺は……!」
『嘘』
本当は、俺の隣で笑っていてほしい
俺と生きて欲しい
手を繋いで、交わった一本道を
こんな時、天邪鬼な性格は役に立つ
本音を言わなくていいから
あんたは、あんたの生きる道を生きて
そこには俺が居なくても
お願い、美依
愛してる、
愛してるよ、
あんただけを……
泣きたくなる程、愛してる
「美依っ、美依っ……」
「いえ、やすぅぅっ…私、も……!」
「一緒に果てるよ、美依っ……」
「愛してる、家康っ……!」
「……っっ!」
「家康だけを、愛してるよ……!」
どこまで本音は零れたのか
淡い泡沫に、消えゆる想いよ
あんたを想えなくなるなら
もう、心なんて要らない
貫く熱情よ
どうか美依に根付いて
もう、逢えなくなるのに
酷すぎる、浅ましい願い
そして、どうか
俺が愛した事を忘れないで
忘れてくれと願いながら、
忘れないでと祈る俺は
本音と建前の狭間で揺れる
だからもう、トドメを刺してくれ
愛しい人よ
────頬に伝う雫は、もう乾かないから