〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第73章 望月の恋人《前編》❀徳川家康❀
「大丈夫、家康のお嫁さんはそんなに弱くないよ!」
「美依……」
「私は私のやれる事を精一杯やる。絶対、生き抜いて帰ろうね!」
「……うん」
そして、私達は短い口づけを交わす。
改めて誓い合うように……
お互いの温もりで、安心を分け合った。
その後、また家康は城の守りに戻り。
私は天守で膝を抱えて座りながら、頭を必死に張り巡らせていた。
私に出来ることってなんだろう。
隊のお世話と行ったって、やれる事は限られている。
それとは別に、もっと家康の役に立てるような……
(……もし、私が援軍を呼びに行けたとしたら?)
そうふと考えて、私は閃いた。
もし、私が単体で安土に報せを持っていけば……
女一人なら、敵の目も誤魔化せるだろうし。
馬をこっそり飛ばして、知らせに行くくらいなら、出来るんじゃないだろうか。
────よし、家康に相談してみよう
そう決心が固まり、私は立ち上がった。
家康は危険だから駄目だと、反対するだろう。
でも、私はどうしても家康の役に立ちたい。
そう思い、家康の元に向かおうとした。
その時だった。
「……美依さんっ……」
(……!この声……!)
小さく名前を呼ばれた気がして、私は立ち止まった。
その聞き覚えのある声に、天守をきょろきょろと見渡す。
すると、窓に人影が現れ……
その人物は、窓から軽い仕草で天守に入ってきた。
「佐助君……!」
「良かった、まだ無事みたいだね」
「どうして、こんな所に……!」
「信長様達が顕如達と交戦しているのを知って追いかけたんだ。謙信様と信長様は合流する予定だったけど、俺は早めに偵察にきていたから」
「そうだったんだ……」
そう言えば、顕如討伐に加勢してくれと、同盟相手の謙信様に信長様が文を送っていたのは知っていた。
佐助君は、いち早くこの事を知って……
私を心配して、追いかけてきてくれたんだ。
「ありがとう、佐助君」
「俺は君の味方だ、どんな時も」
「それでね、私今から……」
「だから、俺の言う事を聞いて欲しい。君が助かる方法があるんだ」
一人安土まで行く事を打ち明けようとすると……
佐助君は、私の言葉を遮り、ぐっと肩を掴んできた。