〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第72章 君しか見えない-繋-❀伊達政宗❀
────この身に、淡く儚い蜜毒を
この一瞬を忘れたくないから
お前とひとつに蕩けた悦びを
触れ合った肌の熱さも
俺に染み込んで、熱情をもっと燃え盛れと
(お前に骨抜きにされるなのも、悪くないから)
「ぁあっ美依、出るっ……!」
「政、むねぇ…やっぁあ──……っっ!」
「…っく、締めすぎだ、出る…ぁあっ………!!」
びゅくっ…!びゅるっ……!!
吐き出した白い欲望は、お前を汚した。
純白の華だったお前が……
鮮血と共に、身を染めた瞬間だった。
それでも『ありがとう』と、笑ったお前。
それは見惚れる程に美しく……
いつか読んだ御伽噺の、天女を思い出したんだ。
そして、二人で抱きしめ合って落ちた眠り。
それは温かく、何よりも鮮やかな夢を見させた。
────美依、お前に惚れて本当に良かった
改めて、胸の中でそう感じて。
俺は極上に幸せな時間を噛み締めたのだった。
*****
「謝らないわよ、私は。冗談じゃない」
それから、数日後。
俺と美依は沙羅に会いに、市の外れの茶屋を訪れていた。
俺は二度と行かないと思っていた。
だが、美依がどうしても会って話がしたいと言うので、連れてきたのは良いが……
(案の定だよな、これは)
沙羅のつっけんどんな態度は変わらず。
美依への口調も視線も辛辣である。
やっぱり連れてくるんじゃなかった、また美依が傷つく。
そう思った俺は、隣に座って出された甘味に口をつける美依に、うんざりと言ったように話しかけた。
「だから言っただろ、来ない方がいいって」
「……」
「帰るぞ、美依」
「さっさと帰ってちょうだい、まさも貴女も」
そう言って、沙羅が席を立ち背を向ける。
数日前に俺が沙羅に言った言葉は、どうやら沙羅を深く傷つけてしまったらしい。
(まぁ、嫌われたんなら好都合だ)
そう思っていると……
美依が席を立ち、去ろうとする沙羅の事を呼び止めた。