〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第72章 君しか見えない-繋-❀伊達政宗❀
「……なによ」
「わ、私っ……」
「だから、何?」
「……っっ」
すると、美依はぎゅっとこぶしを握り。
沙羅に向かってきっぱりと告げた。
「私、あなたには負けませんからっ……!」
(美依……)
それは、美依なりの宣戦布告だったのか。
自分に自信がなく、あんなに自分を追い詰めていたのに……
『負けない』と。
それは美依には、大きな進歩だ。
その言葉は、沙羅にとっても意外だったらしく。
仏頂面で振り返り、美依に告げた。
「なによ、私が負けるわけないでしょう、貴女なんかに」
「あ、でも私…これは沙羅さんに負けてます」
「は……?」
何を言うかと思えば、美依は机の上の甘味を指差し。
ふにゃりと気の抜けた笑みを、沙羅に向けた。
「こんなに美味しい甘味、私には作れませんから…それはとってもすごいと思います!」
「……っ」
沙羅が、驚いたように目を見開く。
鳩が豆鉄砲を食らったとでも言うべきか。
美依、お前──……
本当に、馬鹿みたいにいい女だな、まったく。
「ぶっ…くっくっくっ……」
「まさ、何がおかしいのよ?!」
「いや、一本取られたって顔だぞ、お前」
「べ、別に私は……」
「沙羅、なんで美依に惚れたか、理由が解るだろ」
「……」
────そうね、悔しいけど解った気がするわ
美依、お前は本当に素直で真っ直ぐで。
確かに、周りから見たら普通なのかもしれないが……
それに隠れた魅力、いっぱい持ってるんだぞ?
俺の言う事は、信じて聞いとけ。
俺の事だけは、信じてろ。
お前には、絶対嘘は言わない。
馬鹿みたいに好きなら、信じられるだろ?
あの夜言った言葉も。
晒した姿も、お前への想いも。
全て真実だ。
何も飾ってない、本当の言葉だ。
俺はお前に溺れてるから。
盲目と言われようが、別に構わない。
そのくらい、お前を愛してるから。
俺を満足させる、唯一の女だからな──……?